桐野夏生「OUT」

OUT(アウト)

桐野 夏生/講談社

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映画「大脱走」 を思い出した

テーヘンのパートタイマーたちが、
夫を殺害し、バラバラ…にして
絶望的な日常から大脱走(エクザイル)するドラマ。

日常という牢獄(現実には夫の身体なのだが)を膾(なます)のように切り刻む
人生、女というメイズランナーたち
「何も欲しないよりは、むしろ空無を欲す」(ニーチェ)
日常という方円の器に従って「動物(末人)的」に生きる
それでいて、日常の確信と疑問は、いつも表裏一体
足下の深淵を覗き込んでいると深淵が逆に覗き込んでいる(ニーチェ)
たぶん、それは現代人の宿命…
このままこの疑問に疲れていったら、
いつかは世の中という深淵にどろりと崩れ落ちて、
この流れから引き返す力はなくなってしまうだろう
しかし、いったんこの流れから引き返(OUT)したら…
日常、社会、パートタイマー、家族(夫、子供…)…
もう二度と元に戻ることはできない…

浴室で繰り広げられた、彼女たちの数々の宴は、凄惨というよりは、
むしろ祝祭の空間のように、どこか癒しに満ちてる…

ストーリーはエンタメサスペンス 飽きさせない展開。
…350頁あたりからのラストはすばらしいリズム、流れ
どのキャラも秀逸。
後半からは…
S男(佐竹)がM子(雅子)を求める猟奇的ファムファタルとしても楽しめる

脱出ものなので、やっぱり洞窟のイドラ的終わり方

脱出(OUT)しても、そこからまた脱出したくなる
空無を脱しても またそこに空無が…
空無世界には、終わりがない
…深淵のウロボロス

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by qsso | 2016-12-18 17:35 | 読書 | Comments(0)
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