ジョン・ダーントン「ネアンデルタール」

JohnDarnton,Neanderthal(1996)、 嶋田 洋一 (翻訳)

ネアンデルタール

ジョン ダーントン/ソニーマガジンズ

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インディーJ風冒険譚キャラとおきまりのマドンナ、長老博士…三点セット
娯楽小説…サスペンス、裸、sex、sf・esp要素あり
ネアンデルタール(以下ND)というと、なぜか(舌骨のせいで)お決まりのテレパス
エンタメadvにありがちな、どこかまぬけなマッドサイエンティスト・老博士(恩師)の謎の失踪
この博士のガジェットが、ちょっとあざとすぎる…かも

NDとのファーストコンタクトがいいねぇ
殺害シーンの序破急…緊張感…リズム
350ページ以降のテンポがすばらしい(訳者さんがいいのかなぁ)

2グループのNDが出てきて…
主流派はルソー的ロマン主義で描かれる第一グループ
他方は、そこから排除された異端・異形のもので形成される第二グループ…
僻地、異端ゆえに生まれた統率力、計画力、工業力…などが発達・先鋭化
主流派(ルソーグループ)より一段上の社会的発達が描かれている
彼ら冒険者が迷い込んだのは、ふたつのNDたちのその革命前夜
ルソー的ロマン主義の第一グループが工業力(文明)の第二(異端)グループに覇権を奪われる
そんな革命前夜

本書は、娯楽小説ではあるが
NDが滅亡し、なぜHSS(人間)が生き延びたか…
つまり、NDとHSSを決定的に分けた知性の分岐点はどこか?…
それが本書の大きなテーマである…
人類学的には、NDとHSSは同じくらい知性を有していたといわれる。
HSSと同じように道具も使えたし、死者に対する儀式を行った形跡もある。
では、HSS特有の知性とはなんだろうか?…
本書は、その謎を追って、楽しく冒険していく…
そして彼らが艱難辛苦の上たどり着いた答えが…「欺瞞」であった…
たぶん、動物行動学かなんかの言葉であろうか?
デネットとかに出てくる戦略/戦術の「あれ」である…
それがNDとHSSを決定的に分けたというのである…
現在の日本語のニュアンスとしては非常にわかりにくい…
ネット辞典にあるように、最近は「国民を欺瞞する」と言ってもわかりにくい
ここでは謀(はかりごと)をする知恵。謀殺、奸計…(ちなみに日本の歴史は、そういう物の宝庫である)
であろうか…

そう考えると人間社会とは つまり、法、政治、経済、学問、芸術…などは、
他個体に対する欺瞞と自己欺瞞が高度に結びつことによって成立している…
まさに人間の類的な本質は労働ではなく「欺瞞」なのだ。

人間社会は、たえず欺瞞が欺瞞を生み出し続ける…

こういった知性の切り分けが適切かどうか(自己言及性)…しりません…
…とりあえず、このへんで…娯楽小説としてフツーに読めます…

※あとちょっと最後に引用と蛇足
「儀式的な行動は狂気を遠ざけると同時に、狂気を呼び込むものでもあるのだ。そこには狂的なエネルギーしか残されていない。それが唯一残った合理性ー非合理性反応なのだ」(381頁)
この文を読んだとき、イチローの打席に入る前のルーティンを思い出した。
相手を自分の狂気に呼び込み、テリトリーに入ってきた獲物に向かって狂的なエネルギーを一気に繰り出すイチローを…

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by qsso | 2017-08-15 08:53 | 読書 | Comments(0)
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