桐野夏生「柔からな頬」

柔らかな頬

桐野 夏生/講談社

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世界に慰藉などない。
…と頭では分かっていても、カラダが、ココロが…求めてしまう…
だから、せめてフィクションの世界ぐらいは…と、ひとはあくせくする
おもしろかった 胸糞悪かった とんでもない ありきたり…
そこで、しょうしょう救われたところで…この世に一滴の慰藉もないことは揺るがない
むしろフィクションの慰藉によって、その空白が読者を押しつぶしてしまう
この作品の登場人物たちも、その存在しない出口を世界に求めていく
いい学校に入ったら いい会社に入ったら 結婚したら 子どもができたら…
すでに騙しようがないほど 空白に圧し潰されている

救いがないことが 唯一の救い…
まるでキリストの死のように…

物語は不倫現場から緩い助走をしだすと
幼女失踪事件は藪の中…
世界が 運命が 時間が ぼくらを翻弄し 漂流する
浮標(ブイ)に近づけば 近づくほど 悪夢のような それでいて救いのような暗示がぽかんと浮かんでは消えていく
和解などない
救いようのない日本海留萌の潮風に
赤らんだ柔らかな頬は…
微かに笑ったような…
うぶ毛が西陽で黄金色に光った…
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by qsso | 2017-09-11 05:52 | 読書 | Comments(0)
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