2017年 08月 11日 ( 1 )

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

沼田まほかる/幻冬舎

undefined


沼田まほかる さんの作品
はじめて読みました

アクション描写が致命的に下手以外は
間違いなく 傑作ですネェ
あっという間に読んじゃいました
ケータイを持った「砂の女」
自我肥大したヒッキーな「山椒魚」

陣治は十和子にファムファタル
十和子は黒崎=水島にオムファタル
両方一気楽しんじゃえっって感じで最後まであきません


読者&著者皆さんには失礼ですが(主人公・十和子の内縁の夫の)陣治が、僕の父に思えてなりませんでした。
父が母と出会ったのは、母が15歳。家出少女でした。
夜の盛り場で出会ったそうです。
生活力がなかった二人は、すぐに実家に転がり込みますが
所帯をもった当初から母は隣近所の複数の男性と関係をもっては蒸発、
それを父が探し出しては、また他の男性と関係、蒸発、捜索の繰り返し…
僕が中二のころ(もう実家からも追い出されある地方都市にいた)、ちょうど母が連れ戻されて1か月ぐらい
夜、母は家の近くで男に刺されました。
もちろん刺したのは母の不倫相手で…勝手にじぶんだけ元の鞘に戻ってしまったことを…恨んだのでしょう?
警察が着て、男の行方を追ったけど、次の日の早朝、駅で飛び降り自殺。
ところが、ここで一ミリも改心しないのが母…
退院して1か月もしないうちに、家の有り金持って蒸発。
今度はヤクザもんらしい…
ある日、新聞配達から帰ると家にヤクザ風のニイさんが…
父親となんか話していました
要は
「わしは**組のYというもんや
オンナ(母)の居場所を知っている…教えてほしかったら100万円…」
もちろん家にカネはない。父はそれでもそのヤクザの知り合いとやらの闇金で30万円(それ以上はさすがに借りられなかったらしい(笑))を工面
待ち合わせの店でカネを渡して「ちょっとそこで待ってて」と言ったままドロン。
どうやら母とグルだったらしい…
それから一か月ぐらいたって
またヤクザが家に来た…前回のニイさんより、もうちょっと歳をとって堂々としていました。
本物の**組のYでした。
どうやら前に来た若造はチンピラで、このニイさんの名前を騙って他の所でもなんかやらかしたみたいでした…
いろいろ話したあとに…
「もうあんたはかかわらんほうがいい…」
と父にそう言い残すと、帰りしなに…
なぜか僕を呼び寄せて5千円くれたことを覚えています
見るも凄惨なぼろぼろ家、なかは荒れ放題 4兄弟 不憫に思ったのかもしれない
しかし…父はそれ以降も、母を探すのをやめませんでした…家族崩壊…

「夥しい死が充満するこの惑星自体、要するに、ひとつの膨大なタッキリ・マカン、出口のない、逃れられない、無限の死滅の砂漠だといえないだろうか?」

死という出口(深淵)を選んだ彼(陣治)も、この惑星の中で、どうせ転生してしまうのでしょう。
探し続けた僕の父も…また逃れられない無限の砂漠に…

この作品をしてイヤミスというジャンルらしいが…
僕には、むしろ爽快感だけが残った
無限の砂漠は、けっきょく無限の愛なのだろう
逃れられない地獄の中で…読者はいったい何を見るだろうか…

[PR]