カテゴリ:太宰治( 16 )

こういう記事を読んでいると
太宰の一説を思い出す。
「私は、独りで、きょうまでたたかって来たつもりですが、なんだかどうにも負けそうで、心細くてたまらなくなりました。けれども、まさか、いままで軽蔑しつづけて来た者たちに、どうか仲間にいれて下さい、私が悪うございました、と今さら頼むことも出来ません。私は、やっぱり独りで、下等な酒など飲みながら、私のたたかいを、たたかい続けるよりほか無いんです。
 私のたたかい。それは、一言で言えば、古いものとのたたかいでした。ありきたりの気取りに対するたたかいです。見えすいたお体裁に対するたたかいです。ケチくさい事、ケチくさい者へのたたかいです。
 私は、エホバにだって誓って言えます。私は、そのたたかいの為に、自分の持ち物全部を失いました。そうして、やはり私は独りで、いつも酒を飲まずには居られない気持で、そうして、どうやら、負けそうになって来ました。
 古い者は、意地が悪い。何のかのと、陳腐きわまる文学論だか、芸術論だか、恥かしげも無く並べやがって、以て新しい必死の発芽を踏みにじり、しかも、その自分の罪悪に一向お気づきになっておらない様子なんだから、恐れいります。押せども、ひけども、動きゃしません。ただもう、命が惜しくて、金が惜しくて、そうして、出世して妻子をよろこばせたくて、そのために徒党を組んで、やたらと仲間ぼめして、所謂一致団結して孤影の者をいじめます。
 私は、負けそうになりました。」(「美男子と煙草」)

いまは終戦直下ではない。
戦後半世紀以上も経た
それなのに、
なんにも変わっていないのか??。

若いもんがなにかやると(ナカマじゃないと)
村八分にして
よってたかって貶める、イジメル…
ホント「古い者は、意地が悪い」
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魯迅の仙台留学を本に 中国人学生らが翻訳も :Excite エキサイト : 社会ニュース

魯迅

というと
太宰ファンなら「惜別」という小説を思い出すだろう
a0009919_1672233.jpg
しかし、青春小説タッチのこの作品の「魯迅」は、実像とはあまりにも
かけ離れた人物ではないか?
そういう批判がむかしからある。

もっとも小説なんぞは、本人の実像がどうあろうが
おもしろければ、それでいいのであるが……

当時、熱心な太宰信奉者の竹内好は、出征前、出版社に「魯迅」が出来次第、太宰に恵送するよう頼んでおいたという。
だから、太宰が、この作品を書くまえに、この未公開の(出版されていない)「魯迅」を読んだことはいうまでもない。

他人の書いたものを土台にしか書けなかった日本の近代作家のなかでも、
ひときわそのオタク依存度が高い太宰ならなおさら……。

復員してきた竹内が、
この太宰の「惜別」を読んで、ひどく落胆(がっかり)したらしいが……
落胆したのは作品の内容というよりも、その人格にあったのかも知れない。

「惜別」を読んでいると、ふと、このもうひとつ「惜別」のほうを思い出す。

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a0009919_437121.jpgピカレスクといえば……シリーズ3

ヤギ男。
繊細な面立ちのナイーブな少年のイメージで通ってしまっているが
実像は……どうだろう?

昔、詩人といえば、タダ酒飲みと相場が決まっていた。
虚言癖の啄木もひどかったが、
わけてもヤギ男の酒癖はひどかった。

山岸によると、
太宰治は中原中也のことを
「ナメクジみたいにてらてらしたヤツで、とてもつきあえた代物じゃない」(太宰)
「羽織と対の大島を着ていて、それが、電灯にてらてら光るんだ。安ものの感じだ。ほんとに蛞蝓を感じて、とてもたまらなくなって、表に連れだして酒を飲むことにして、屋台店にはいったのだ。ところが、ひどく酔ってきてぼくにからむのだ。いちおう、相手をしていたのだが、やりきれなくなって置いてきぼりをして逃げ出したが、あれほど厭な奴はいないね」(太宰)
とこぼしていたらしい。
「太宰は、これほど中原中也を嫌悪した。」(山岸)

a0009919_1084163.jpg猪瀬直樹「ピカレスク」は、「青い花」会合当時の中也の酒癖の悪さを伝えている。
(特にエリートに対する鬱屈した気持ちがあったらしい。)
酒の席で、太宰はヤギ男に
「何だ、おめえは。青鯖が空に浮んだような顔をしやがって。」とからまれたらしい……
草野や檀とはガラス窓を割るぐらいの取っ組み合いもあったらしい
文字通り、日本のアル中ーる・ランボー者
もともと、酒癖&性格が悪かったから
愛人長谷川泰子が、エリート小林秀雄に走ったのか~
あるいは、そうなったから、酒癖&性格が悪くなったのか
あるいは、ただの偶然か
それは、わからないが。

note………
ちなみに長谷川泰子は、小林とも別れる。
安岡章太郎談によると、長谷川が掃除狂で、
小林が逃げ出したと言われているが、
甚だあやしい。

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a0009919_11331875.gif太宰の作品のなかで、『満願』や『姥捨』は、その筋では「転向」期の作品とかよばれている。とくに、『姥捨』については、その筋で、よく言及されてる(ような気がする)。

『姥捨』は、太宰が妻に裏切られ、その妻初代とおこした心中事件の顛末を描いたものであるが、太宰は、このことについて、それ以前にも二、三書いている。
が、『姥捨』には、そのどれとも違う「距離」が感じられる。

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太宰「実朝」

もっとも山師ってキリストのことなんだけど~
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