カテゴリ:読書( 15 )

OUT(アウト)

桐野 夏生/講談社

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映画「大脱走」 を思い出した

テーヘンのパートタイマーたちが、
夫を殺害し、バラバラ…にして
絶望的な日常から大脱走(エクザイル)するドラマ。

日常という牢獄(現実には夫の身体なのだが)を膾(なます)のように切り刻む
人生、女というメイズランナーたち
「何も欲しないよりは、むしろ空無を欲す」(ニーチェ)
日常という方円の器に従って「動物(末人)的」に生きる
それでいて、日常の確信と疑問は、いつも表裏一体
足下の深淵を覗き込んでいると深淵が逆に覗き込んでいる(ニーチェ)
たぶん、それは現代人の宿命…
このままこの疑問に疲れていったら、
いつかは世の中という深淵にどろりと崩れ落ちて、
この流れから引き返す力はなくなってしまうだろう
しかし、いったんこの流れから引き返(OUT)したら…
日常、社会、パートタイマー、家族(夫、子供…)…
もう二度と元に戻ることはできない…

浴室で繰り広げられた、彼女たちの数々の宴は、凄惨というよりは、
むしろ祝祭の空間のように、どこか癒しに満ちてる…

ストーリーはエンタメサスペンス 飽きさせない展開。
…350頁あたりからのラストはすばらしいリズム、流れ
どのキャラも秀逸。
後半からは…
S男(佐竹)がM子(雅子)を求める猟奇的ファムファタルとしても楽しめる

脱出ものなので、やっぱり洞窟のイドラ的終わり方

脱出(OUT)しても、そこからまた脱出したくなる
空無を脱しても またそこに空無が…
空無世界には、終わりがない
…深淵のウロボロス

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黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)

綾辻 行人/講談社

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ガキの頃、推理ものにドハマりしたクチで、横溝正史をはじめ、森村、松本、乱歩、アガサなどなど
朝から晩まで読んでた。
その反動からか、中学以来、推理物はぱったり読まなくなった。
登場人物のキャラ設定の雑さ、&魅力の無さ
ストーリーそっちのけの後出しじゃんけん同一人物、トリック&なぞとき記述…
結果的に陳腐な動機、貧弱な犯人キャラの人間味
ジュブナイル
つまんない
こころが熱くならない
シチュエーションとガジェットだけで、読者は喜ぶのか
さいごに水戸黄門が印篭みせてハハーッとするだけの小説…
そんな感じで、ながらく敬遠していました…
が、齢50もなかば、童心に帰って、たまには推理物でも…
と思っていると…不思議なことに本棚にありました。

綾辻さんの作品、
はじめて読みました。

すらすら読めました。
わかりやすいのはよかったのですが
意外性もゼロでした。

単調なストーリー展開
相変わらず動きのない謎解きキャラたち
多少、お色気&エンターテイメント風のアクション期待してましたが…

あんまりつまんないので途中で管理人のキャラを改作しながら読みました。
やっぱロリコン設定なら…音楽でしょうってことで…
管理人を人気絶頂時に姿を消した、歌手の平井堅さん似の伝説のソウルシンガーにしました。
真夜中の黒猫館に「おじいさんの入れ歯」が
おじいさんと一緒にカチカチカチカチ鳴り響く…
百年休まずカチカチカチカチ…でも…もう腐ってる
時は流れ、黒猫館では…ホラー映画お馴染みの若者たちによる
淫らな宴が催され…
若者たちに無理強いされたケロイド顔の管理人(彼)の歌に…霊導される若者たち…
その夜…事件は起こってしまった…
つぎつぎと、殺されていく登場人物…
消されていく乱交ビデオ…
ラストは編集者と犯人とのハードボイルド大立ち回り
…失踪…
エンディングは…
真夜中、たったひとり彼は真っ暗な地下室で養女の前で歌っている
「魔法って言っていいかな?」が、流れる…

「猫「に」時間の流れる」(保坂和志)

とりあえず
また、十角館から読んでみるかなぁ

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橋爪大三郎「世界は宗教で動いている」

世界は宗教で動いてる (光文社新書)

橋爪 大三郎/光文社

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よくいわれることである
橋爪さんによれば キリスト教では
god→王・政治家→民
であるからだという
要するにジャーナリズムは王、政治家が、godの正しい道から外れていないか?
それを質すのがジャーナリズムということになる
じゃーあ、日本の天皇はどうなるんだろうなぁ
godというのであれば、ジャーナリズムは天皇擁護になるし、王・政治家というなら天皇批判となる
日本にgodはいない…日本のジャーナリズムはなにをリファーして政治家・天皇を批判してんだろう?…米製のgodか?
godのいない国日本でジャーナリズムの存在意義ってなんだろうねぇ??


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突然ですが、
あまりに本が増えまして…
いま積読本の整理をやってまして、
古い本からガンガン読んで処分しています

ふんで…
ひさしぶりにむかしの青春小説もいいかなぁっていう感じで読みました。
帯には「 80年代を代表する Bildungsroman!  」とエクスクラメーション入りだったけど
教養にロマンなんかあるわけない 教養にロマンを感じるのは団地妻だけ!
Sturm und Drang ロマン!の 間違いだろうと思った(笑)
疾風怒涛のハングオーバーロマン!
中二*セカイ系の妄想が…核弾頭になって 世界中に雨あられ…
fallout(死の灰)
そして…というふうに…
ブリーフのなかが精子でぼたぼたになるような…
…そんなフランダースの駄犬のような感動の名作です

あのころ、中二のみんなにおとずれた…ブリーフの中身を…
あますところなく♪にんじゃりばんばん♪(kpp)
…ブリーフの中身は、大いなる譫妄とともに
神をも恐れぬ勢いで肥大化し そしてついにそれは天空をも突き刺すバベルの塔になった
世界はこうして開かれたのであった…
そしてツァラは山巓に立って、こういった
「生めよ ふやせよ!」
山、切腹、オナニー、生首、女、ホモ、サムライ、母、…そんな"セカイのミシマ"が、
いざっ!つけまつける!つけまつげ!(kpp)
そんなレリホーラリホーな中二賛歌になってます…

♪ダ ダ ダ ダダ インベーダー
キミの街にも ぴーぽ ぴーぽぴぽ
ダ ダ ダ ダ インベーダー
おっしゃ Let's 世界征服(kpp 「インベーダーインベーダー」)

ってな感じで…
ぼくの感想など…糞の役に立たないので…
天才のみずみずしい文章をそのままコピペ…
「僕はオリジナルの死をつくろうと思う。僕は自分がエイズにかかったら、エリート・サラリーマンにつきまとって、感染を恐れる彼らに殺されたいし、核戦争が冗談でなく起こることになったら、東京に落とすのが一番だと街頭デモで呼びかけて、良識ある市民になぶり殺されたい。父や母は自分の死に方を考えているだろうか?。無様に生きることしか知らないのではないか。結局、お仕着せの死を阿保面して受け入れるのではないか。僕はそれを思うと両親が不憫に思えてなりませんでした。僕は人並みはずれた死に方をしますよ。三島由紀夫と同じように、しかし別のやり方で死者の隠喩になってやる。」(38頁)
「中学生になった僕はますます複雑に分裂していった。ドラマチックないいかたをすれば……阿久間一人という収まりの悪い名前にはめ込まれた時から僕の運命は、スターと浮浪者、指導者と隠遁者、天才と白痴といった緻密に歌い上げる…両極端の間を激しく往復することになっていた。」(42頁)
「僕は常に小説に巧妙なでっちあげを望んでいた。つまりリアルなお伽噺が好みとするところだった。主人公には教訓や道徳など演じてもらいたくなかった。自分の犯した罪に苦悩する人物より、苦悩を求めて罪を犯す人物の方が百倍魅力的だった。また業病を患ったとか貧しい家の生まれといったハンディを負った者が社会に抵抗もせず、ひたすら陽気に没落し続ける物語はないものかと思った。逆に容姿端麗、才知もお金もあり、生い立ちにまったくハンディのない、悩みのないのが唯一の悩みといった主人公が下手に道徳心を起こしたり、美しく没落してゆくのも気に入らなかった。「奢れる者は永遠なり」とばかりにひたすら超人的になってゆくことを望んだ。没落や成功の永久運動の涯に何があるのか僕は知りたかったのだ。現実は意外とそんなものらしいから。」(46頁)
「僕はその種の弱者になろうとしたわけではなかった。社会の庇護のもとにコンプレックスを武器にするのはあまりに常識的だ。それは弱者のふりをした侵略者のようなものだ。現代では弱者を別に存在する。例えば、何ひとつ苦労を知らずに育ち、気にかけるようなコンプレックスを持ち合わせておらず、何でも無難にこなすことのできる青年がいたとしよう。彼は誰からも羨まれるだろうが、それ以上に嫉妬され、煙たがられるはずだ。彼はせいぜい弱者面した連中のご機嫌をとって、時には故意にズッコケて見せなければ生きづらくなるにちがいない。能力をフルに生かせばたたかれる。手抜きすれば非難を浴びる。彼こそ現代の日本の隠れ弱者ではあるまいか?」(92頁)
「新聞研の部室には文芸部という名の喫煙クラブの連中もいて、一種の社交場になっていた。人数が集まれば、カードや人生ゲームに興じるのだった。大学受験を前にしての休憩というよりは老人ホームの寄り合いであった。」(104頁)
「手紙をもらって三日後に彼女は僕の前に姿をさらした。何という……暗闇と強い香気のなかでは大した美人になりそうな容姿なのだが、明るい所では細部の粗雑さが目につくのであった。」(109頁)
「ところで三島さんはご自分が最も戦後の日本人らしいとお考えになったことはありませんか? あなたは金のために書いたものも多いし、自ら肉体を張って商品になろうともなさいましたし……三島さんは御自分の本質を隠すために天皇や自衛隊をだしに使ったんだと僕は思っちゃいますね。だから尊敬しているんですけど」(136頁)

KPP BEST 初回限定盤(きゃりーぱみゅぱみゅ超限定リアルお顔パッケージ)

きゃりーぱみゅぱみゅ/ワーナーミュージック・ジャパン

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宇宙の孤児 (1965年) (ハヤカワ・SF・シリーズ)

ロバート・A.ハインライン/早川書房

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(現在16/12/03 07:18グーテンベルグ21のamazon unlimited版あり)

映画「スノーピアサー」のような、巨匠の閉鎖ものアクション。
テンポもよくすらすら読める…
作品テーマは「洞窟のイドラ」的で単純だが、
閉鎖空間(宇宙船)とミュータントのアンクルサム的なナイスキャラが、
いい暑苦しさを醸し出している…
fo3序盤みたいな追放あり、反乱あり…脱出…のドラマ展開
ほどよい大きさのガジェット(宇宙船=難破船)がいいねぇ
あきさせない 一気に読了

いまも人類は「宇宙の孤児」だけど、
男子なら、そういう一生送ってみたかったなぁって思う…
いまのヘイワな人生と地球に感謝!



洞窟の比喩的展開のSFは多いけど
わけてもマイケル・ベイのアイランド The Island(2005)
ユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソンはよかったなぁ

でもさいごのラストシーンは、あまりにもズボリすぎて…

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大東亜戦争、こうすれば勝てた (講談社プラスアルファ文庫)

小室 直樹,日下 公人/講談社

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「国家が国民を信じないから日本は弱い」(日下公人)
「特攻攻撃の情けないところは…
…日本軍隊の致命的な欠陥がある。それは何かというと、要するに、兵隊を信用していないということで、「もし爆弾を落として帰ってきていいということにしておいたら、みんな大した攻撃もしないで帰ってくるんじゃないか」という国民不信の思想だった。
 なんでそうなっちゃうかというと、その根本は民主主義国家じゃないからで、「戦争目的について国民の合意を得ていたい」と、戦争指導者自身がそう思っているんですよ。これは決定的に重要なことです。国家が国民を信じてないんだから、日本は根本的に弱いんです。上の人たちは、自分たちが勝手に戦争を始めたから、下が本当についてくるかどうか心配なんだ。アメリカとは、そこが違うんです。
…そうですとも。兵隊に降伏を許さなかったのも、弱さのあらわれですね。降伏病が伝染すると思っていたからです…」(348-50頁)日下公人
決定的に、いまもそれは変わっていない…というのが日下公人さんの主張

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パーク・ライフ

吉田 修一/文藝春秋

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単行本「パークライフ」に所収の短編。

ものすごく入り込みやすい。
こんなに簡単に読者を「催眠」にかける書き手もめずらしい。

ある事情から結婚して間もなく九州から東京へ移住就職した若い男性の物語。
ブンガク青年然とした大卒ニイちゃんの「パークライフ」とはうって変わって、
…いわゆる男の単純肉体労働の(ほぼ)ブラックな会社を舞台にし、
主人公のキャラはイナカ、素直従順、低学歴、筋肉、ちょっと骨太な感じの…
ガテン系アンちゃん…そういう方面のひとは…
感情移入がしやすいと思う。

そんなクリエイティビティとはまったく縁のないささくれだった世界で
男たちは…生け花を「生ける」
「花の数だけ、人には感情がある」(p.131)

濡れた墓石、
台風、
飛び散った花びら
…祖母の死

切り取って
刺して
…砕け散っていく
我流の生け花…
なにをどうしたらいいのか…だれも知らない…
そんなオトコたちのカレイドスコープ…

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超人の哲学 (講談社現代新書)

田原 八郎/講談社

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「異能の血のたぎりは、自らに我慢を強制しない。彼にとってのしごとは、異能の自然的衝動に忠実であることしかない。これは、我慢とか遊びとかいう文化的なことがらではなく、もはや自然的なことがらと言うべきであろう。」(193頁)
もう何十年も前ではあるが
後に世界GPに行った辻村猛君が、まだミニバイク時代、レース中、後ろについて走ったことがある。
一周走っただけで、天才だと思った。
メインストーレート(最高速)からの奥の深い右複合、1cノーブレ高速から2cから3cと引きずりながらの深いブレーキング→フルバンク、
ノーブレからのするどいs字の切りかえし、最終ヘヤピンのライン取り…
まえにいる彼(少年)の、なんと軽やかなことか…
「風」…そう思った…まさに「自然的なことがらと言うべき」走りだった。
自然から祝福されている走り
それに比べると、凡庸なオレの走りは人間が苦労しながら必死で走っている。
我慢と強制…自然さがまったくない…
だけど オレは 「こんな小僧に負けてたまるか!」
ひっしで3周ぐらいくらいついていった
メインストレートから1c2c3cブレーキング・フルバン
「抜いてやる」
と思った瞬間…
フロントがなくなった
からだがクラッシュパッドのすきまにジャストにはさまって
息ができなくてくるしかった…
ちょっと思い出した…

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芥川受賞作を読むのは20年ぶりぐらいかなぁ…
平野さんの「日蝕」をさわりだけ読んで以来。

ワシ、ブンガクとは縁もゆかりもない(ヤンキー、バイク、ディスコ…)生活を五十代半ばまで過ごした関係上、
どうもねぇ永遠の文学青年特有のあの暗さとか、しちめんどくささが…どうもだめなのねぇ
まだkppの「にんじゃりばんばん」のほうが分かるタイプ
ブンガクという文字だけでロマンを感じれる人はそれでいいんでしょうが…
そういう方面のロマンは、ほぼゼロなので…結局、小説が面白いかどうか…エンタメ度が基準

さすがに二千年代の受賞作となると、サクサク読めます
特有の暗さ、めんどくさい性格のキャラ設定も若干はありますが…まぁ受忍できる程度

設定が都内住みでそこそこのリーマン青年が、
ふとしたきっかけで知り合った謎の女性と公園で会うようになり…といった話
「紙兎ロペ」のアキラ先輩臭の近藤パイセンがいいダシをかもすと、
とっちらかった母&父、知人の愛サル、ひきずったまんまの恋、…謎のスタバ女との出会い…
そして…フーセンおじさん…
ドラマは…スタバ女と名前もしらないまま…別れるシーンで
ぷっつり終わってしまう…
失われた光源…
そして、僕の心に一枚の日光写真だけが残される…
そう、その写真には
フーセンに乗って俯瞰した公園が…
…箱庭型人生ゲームが…
さまざまなシムが
またそこでシムたちは、出会い、別れるんだろう…
そして彼女の名前も知らないまま死んでいくんだろう…

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凍える牙 (新潮文庫)

乃南 アサ/新潮社

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凍てついた東京の夜に…読みたい…
(ミステリーと言うよりも)オンナ刑事もの。

ガジェットが バイク、女性、お犬様とくれば …これは読まない手はないなと思い読みました。
平易でイメージしやすく、テンポのいい場面展開、ロケーションがすばらしい。
緊張感の描写が秀逸…殺害の瞬間の序破急や…特に印象的なお犬様との対面の緊張感ある描写……
すらすら読めます。

ただ、ハナシが決定的に面白くない(ここらへんは当時の雰囲気もあるし、私が男性であることもかかわりがあるかもしれませんが…)。
やすっぽい2時間ドラマを見たなぁって感じで…(これは良い意味でも悪い意味でも)
かつてバイク乗りだった拙者は、チェイス&ハードボイルドシーンを、特に期待して読んだのですが…
ヨンフォアーでお犬様追跡とか…まじで??…
オフローダーか(せめてFTR)…コナーでカウンタステアー/アクセルターン、レインボーブリッジから天王洲までスーパージャンプとか(ジョーダンですよ笑)
とにかくセクシー&ゴージャス系オンナデカのドハデライディングを、勝手に盛り上がって期待していたもんですから…

また、1996年という時節柄もあったのでしょうか、
女主人公がオトコ社会のなかで「女性」を意識過剰気味で…
なんか「女性」であることに酔うような…くどさが…(ここらへんが逆に女性読者にとってはいいのかもしれないけど)
そのせいか、この小説はエンターテイメント小説に欠かせないオンナ性を封印してしまってるんですよネェ(ワシ視点だけど)
要するに、まったくさっぱりお色気がない
人殺しエンターテイメント小説なら…
オンナ、唄、非行(犯罪)、酒、ハードボイルド(アドヴェンチャー)、ロマン(ファンタジー)、絶望(希望)
そしてぬくもり…
どうせなら、一通りぜんぶ楽しみたいじゃないですか?
殺人犯の捜査という、かさかさした砂漠のような人間関係のなかにこそ、
オアシスが必要なんですよ…

でも読み物としての完成度は高いですし、
東京住みならロケーションはたまんないでしょう…

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