湊かなえ「白ゆき姫殺人事件」

バイクが高速コーナーを立ち上がって
直線で、小さなスネーキングが増幅して、気づいたときにはすでに体は宙に投げ出され、ハイサイドを起こしたような

桐野夏生の「グロテスク」のように…個性的なキャラクターを駆使して、
それを描ききった作品ではない…
一般人の日常の他愛もない噂話、妬み、僻み、嫉み…
そんなどこにでもある日常の小さな積み重ねが、
小さな小さな歪みが…
いきなりジャンプ(ハイサイド)した…

もっとも、そのジャンプそのものはこの作品には描かれず
凡庸な人間の暗く冷たく小さく貧しく、そして残酷な告白が丹念に繰り返され
それを無責任なマスコミ、ネット野次馬が右に左にドリフトさせ増幅させる…過程を描いているのみである

いつハイサイドするか
なぜハイサイドするか
それはライダーにはわからない
わかっているのは
何かが少しずつ少しずつ壊れていくことだけである

笑ってしまえばいいのに…

「…大体が人間性というものは、馬鹿げていて、悲しいものですよ。しかし、もし人生が君に寛大ということを教えたならば、人生は泣くことよりもむしろ笑うことの方が多いのがわかるだろうと思いますよ」サマセット・モーム「この世の果て」
(谷沢永一さんの孫引きです)

白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

湊 かなえ/集英社

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by qsso | 2017-10-08 06:17 | 読書 | Comments(0)
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